正気でないオタクのsims4

- sims4(PC版)のデフォシムやオリシムを愛でる正気でないプレイヤーの記録的な何か -

[ バチェロレッテ:トレーネ ] トレーネの悩み事 [ 0日目 ]

トレーネ編のプロローグです。
レヒトも出てきますが、ましろさんのバチェロレッテへ応募する前となります。


白雪編と同様、小説もどきにSSを挿絵程度に載せました。
お暇な時にでもご覧下さいませ。


※使用させていただいたposeは 新生まるきぶねスローライフ 様、katverse 様 よりお借りしております。




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 トレーネには、悩みが二つあった。



 先日一目惚れでバチェラーに参加して、結果は振り向いてもらえず泣く泣くお別れとなったがそのことではない。
 パパから珍しく慰めて貰い、もう吹っ切れているからだ。


 悩みの一つ目というのが、その慰めてくれた『パパ』のこと。



 トレーネが「パパ」と呼ぶのはこの世でただ一人──ブラウ・フリートだけだ。


 名前の通り【(ブラウ)】が好きで、トレーネが青色を好きになったのもパパの影響。パパだけに育てられたという訳ではないけれど、トレーネにとってはじめからいない肉親よりも近しい存在だった。鳥の雛のようなすり込みといっても良い。


 しかし、そのパパが最近──かどうかは分からないが、トレーネの知らない所で結婚をしていたのだ。


 しかも、子供まで……!
 パパの最初の娘として、弟や妹ができたら「真っ先に教えてね」と再三言っていたのにも関わらず……!!!


 ヒートアップしそうになる思考を一旦横に置いて、トレーネは深く長いため息を吐いた。



 おじさんから聞いた話の通りにパパは家庭を持っていて、トレーネが今まで一度も見たことのない柔らかい表情で過ごしている。
 トレーネの前では時折鼻で笑うぐらいで、いつも険しい顔しかしなかったのに。


 会いに行った時、別の誰かが乗り移ってしまったのかと内心思ったぐらいだ。慰めて貰った時だって──私が酷い顔をしていたのかも知れないけれど、昔憧れた家族のように過ごせた。



 これも全て、あのお嫁さんのおかげかも知れない。
 まだちょっとだけ、認めたくはないけれど。


 パパにはトレーネがいなくても幸せな家がある。
 だから、トレーネはパパにとって要らない子なのかも知れない。


 それが、一つ目の悩み。


 もう一つは──



「トレーネちゃん! 急に走って行くから驚いたよ。傘も差していないし……風邪を引いたらどうするんだい? その無邪気さは愛らしいけど、何かあったら危ないじゃないか」


 パパの家にお邪魔した帰り、大通りにレヒトが見えて慌てて道を変えたがバレていたらしい。おじさんへ『今から帰る』と連絡していると声を掛けられた。



「……私はレヒトに心配されるような小さな子どもに見えるかしら?」


 じっとり()めつければレヒトがしまったと口を押さえる。トレーネに対して子ども扱いが常なこのレヒトという男は、物心ついた時から行く先々で何がなくとも近づいてくるのだ。


 以前、まるでストーカーだと非難すれば「僕がいない間に何かあったら……守れないし、眠れない」などとぬかしていた。眠らない吸血鬼の癖に。



「そんな、誤解だよ。トレーネちゃんに万が一のことがあったら……」


 悲壮な顔をしているが、わざと同情を誘っていることなどトレーネにはお見通しだ。女性相手には百戦錬磨だったらしいレヒトは、トレーネの前だと途端に爪が甘くなる。



「それ、私がバチェラーに参加してからもっと酷くなった気がするの」
「それは……」
「過剰な心配は要らないわ。尾行されているみたいで気持ちが悪いから、口をきいているうちに止めてちょうだい」


 つんといつものように突き放した物言いをすれば、分かりやすくレヒトが地面に突っ伏した。心にダメージを負ったらしい。
 乙女のプライバシーを無視するからだ、ざまぁみろ。



 そのまま動かないレヒトを置いて帰路に着く。
 弱々しく名前を呼ばれた気がするが聞こえないフリをした。


 この通り何かにつけて関わってこようとするレヒトに、トレーネはパパとは正反対な理由で頭を悩ませている。




「──そんなにレヒトから離れたいのなら、俺が手を貸してさしあげましょうか?」


 私室に向かう途中でレヒトへの不満を口にしていると、おじさんに呼び止められた。
 手招きされるままにおじさんの部屋へと入る。



 おじさんは実に胡散臭い笑顔で本棚に立て掛けていたバインダーを取り出し、トレーネに見せてきた。


 指を差した先には《バチェロレッテ-同意書-》と書かれてある。


 おじさんからトレーネに提案する時は、トレーネでは思い当たらない"何か"を観察しようとしている時だ。
 トレーネを拾ったことすら『二種族の生態観察』だというのだから、おじさんからすればバチェロレッテはかっこうの催しなのかも知れない。



「毎日スケジュール通りに過ごして貰うだけで構いません。お金を取ることもありませんし、出資元は明かせませんが湯水の如く幾ら使っても良い。結婚相手を選ぶ必要はありますが、すぐに家から出たいトレーネにはメリットしかないでしょう? 今決めなければなかったことにしますが……どうしますか?」


 畳み掛けるようにおじさんが決断を迫る。
 人を実験動物みたいに扱うなと反論したいが、一度レヒトの監視から完全に逃れたい気持ちもあった。ある意味、別の監視に鞍替えするだけにはなるけれどトレーネには幾分かマシに思える。



「おじさん達の悪いお仕事に、その人たちを巻き込まないのなら」
「……まぁ良いでしょう、そのままでも俺としては有用ですからね。近付かないように言い含めておきます」


 差し出された同意書の内容を流し読みしてサインした。ただの紙切れだが、これでおじさんとトレーネで交わした契約を誰も反故にすることはできない。例え保護者気取りなレヒトであっても。



「ところで、これを何に使うのか気になりませんか? トレーネには知る権利がありますよ」
「……ううん、いい。おじさんが笑顔の時は大抵ろくでもないことだわ」
「おや、面白くない事を言いますね。レヒトなら簡単に引っかかってくれるんですが」


 やはり引っかけだったと分かってゲンナリする。
 しかも、レヒトと同じレベルだと暗に言われてトレーネは腹が立った。



「レヒトと一緒にしないで」
「俺からすれば貴方達は似たもの同士だと思いますけどね」


 トレーネの怒りなどどこ吹く風で、おじさんは背を向けてスマホを取り出し手早く操作している。
 たぶん、知る必要のないお仕事のことだろう。


 トレーネが見ていたことに気付いていたのか、ズィンは口角を上げたままゆっくりと振り返った。



「一度懐けば追い掛け回す所など、犬のようでそっくりだとは思いませんか?」


 冷め切った瞳に身がすくむ。トレーネは時折ズィンが見せるこの目が恐ろしかった。人を人とも思っていないような無感情なそれ。


 ──悪魔と契約してしまったかも知れない。


 また一つ悩みが増えて、おじさんに悟られないようにトレーネは心の中でこっそりとため息を吐いた。



 今度は私が主役だけれど、ここから連れ出してくれる人がいい。


 トレーネは期待と不安に揺れながら、拾われた時と同じように窓の外に広がる雨雲を眺めていた。



 to be continued...




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ブラウのお嫁さんであるフリージアちゃんはましろさんよりお迎えさせていただいております。いつも快く出演するご承諾をいただきありがとうございます!



〇おまけ


2人の撮影後、自律でブラウがフリージアちゃんにキスしてましたw


フリージアちゃんが正気でない幼稚特質、ブラウがせっかち悪人なので結構な頻度で侮辱しあう2人。


しかし、意地悪のあと仲直りなのか「不愉快な会話」でも構わず誘惑したりとラブラブです。レヒトとトレーネの撮影の裏で自律ウフフもあり、プレイヤーはびっくりしすぎて変な声が出ました( ᐛ )



現在、有り難いことに出場者さんが17名(紹介更新はまた後ほど)となり、バチェロレッテの日数も伸びるのであらかじめスケジュールを組み直しております。
(応募予定の方のシムさんを含めると結婚式が26日目だったかな?)


顔合わせの記事は順調にいけば15日辺りからの毎日更新となりそうですので、それまでもう暫くお待ち下さいませ。


MCCCでの大人数テストプレイは済ませましたので、あとは新たな出場者さんの撮影と紹介更新・顔合わせ記事更新(+トレーネ邸建築)を集中的にしていきたいと思います。



ここまでご覧いただきありがとうございました!